妻が浮気したのに親権を取られる可能性があるの?【元弁護士が解説#2】

妻が浮気したら、当然「子どもの親権は渡せない」と考えますよね?

しかし現実には、浮気した妻が親権を取得する事例も少なくありません。

今回は妻が浮気したときに子どもの親権を取られる可能性があるのか、男性が親権を獲得するにはどうすれば良いのか解説します。

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浮気しても親権を獲得できる

世間一般では「浮気した親は親権者になるべきではない」と思われているものです。妻が浮気したら、当然夫が親権を取得すべきと考えるでしょうし、実家の親などからもそのように言われるでしょう。

しかし法律の世界では「浮気と親権者は別問題」という考えです。裁判所は「浮気して夫婦関係を破綻させたとしても、子どもの親権者としては適切な可能性がある」と考えています。

現実の裁判例でも、浮気した母親が親権者と指定されたものがたくさんあります。

「浮気した妻に親権をとられるはずがない」と軽く考えていると、相手に子どもを取られてしまうおそれがあるので注意してください。

親権者の判断基準

裁判所が親権者を判断するとき、以下のような点が重要な基準となります。

  • 養育実績

子どもが生まれた後、主に育児を担ってきた親に親権が認められやすくなっています。

親権を獲得したいなら、できるだけ積極的に育児に関わりましょう。

  • 現在の子どもとの関係

現在の子どもとの関係が良好で親密な方に親権が認められます。子どもの学校や宿題、習い事、クラブ活動などに積極的にかかわり、子どもと密接にコミュニケーションをとっていきましょう。

  • 子どもが乳幼児なら母親優先

子どもが0~3歳くらいの乳幼児の場合、母親が優先的に親権者として指定される傾向があります。

  • 離婚後、子どもとどのくらい一緒に過ごせるか

離婚後の生活において、子どもと過ごせる時間が長い親は親権者として有利です。フルタイムではたらいている会社員の父親は親権争いで不利になりがちです。時短勤務やフレックスタイム制などを利用して、なるべく子どもと過ごせる時間を増やしましょう。

  • 監護補助者の有無

男性で家事育児が得意ではなく、会社の仕事が忙しくて日中子どもと一緒に過ごす時間をとれない方には「監護補助者」が必要です。監護補助者とは、養育を手伝ってくれる人です。具体的には母親(子どもの祖母)などに一緒に住んでもらって子どもの面倒をみてもらいましょう。

  • 子どもが15歳を超えていたら子どもが親権者を決める

子どもが大きくなってくると判断力が身につきます。おおむね15歳以上になると意思が尊重され、自分で親権者を選べるようになります。

  • 離婚時、子どもと一緒に生活している

離婚前に別居した場合には、離婚時に子どもと同居している親に親権が認められやすくなっています。親権を獲得したいなら、子どもと離れてはなりません。

  • 離婚後の生活環境

離婚後の生活環境は良好な方が好ましいです。たとえば住居が狭すぎる、治安が悪い、学校が異常に遠いなど、問題があると親権を獲得しにくくなるおそれがあります。

  • 健康状態

健康状態は良好であるに越したことはありません。ただしうつ病などの精神疾患や多少の身体疾患があっても、子どもの養育をできる状態なら親権が認められるケースはよくあります。

  • 経済力

経済力も高いに越したことはありません。ただし「経済力が高くないと親権を取れない」という意味ではありません。経済力が低くても、「相手から養育費をもらって子どもを育てられるなら問題ない」と判断される事例はよくあります。男性は「自分の方が、相手より経済力が高いから親権を獲得できるはず」と思い込む傾向がありますが、それは間違いなので注意しましょう。

  • 浮気相手と別れているかどうか

浮気した人が親権を希望する場合、浮気相手と別れているかどうかも判断材料となります。浮気相手と別れず子どもと浮気相手を会わせたりしていると心証が悪くなって親権を獲得しにくくなります。

男性が親権を獲得する方法

以上の裁判所の親権者判断基準を前提に、男性が親権を獲得するにはどうすれば良いのかみていきましょう。

子どもとの関係を密にする

1つは子どもとの関係を密にすることです。子どもが4歳以上になってくると、男性にも親権が認められやすくなってきます。そのくらいの年齢の子どもは習い事を始めたり幼稚園、学校で友達ができたりして、できることや世界も広がってきます。父親として積極的に子どもの世界に入り、一緒に生活を楽しみましょう。子煩悩で子どもから懐かれている父親には親権が認められやすい傾向があります。

離婚前に子どもと離れない

妻が浮気したら、離婚前に別居するケースが圧倒的に多数です。そのとき、絶対に子どもと離れてはなりません。妻に子どもを委ねると、後に取り戻すのは極めて困難となります。裁判所も「子どもが現状で落ち着いて生活しているなら、あえて環境を変更する必要はない」と判断するものです。

妻が出ていくなら、子どもを置いて1人で出て行かせましょう。自分が家を出るなら、必ず子どもを連れて出ることが重要です。

離婚後、子どもと生活できる環境を用意する

男性が親権を獲得するには、離婚後に子どもと一緒に生活できる環境を整える必要があります。

住む場所を確保し、日常生活の中で子どもと一緒に過ごし、子どもを養育するための時間を作らねばなりません。今、フルタイムで朝から晩まで会社にいて子どもとほとんど顔を合わせていない場合、親権争いには不利になります。できるだけ自宅で子どもと過ごす時間を増やし、実家の親に家に来てもらって監護補助してもらうなど工夫をしましょう。

妻が不倫相手と別れていない証拠をつかむ

妻が不倫したために離婚になる場合、「妻が浮気相手と別れていない証拠」があれば夫が親権を獲得しやすくなります。裁判所も「浮気相手と別れていない人」にまで親権を認めるケースは少ないからです。

たとえば妻が浮気相手と同棲していて離婚前に子どもと浮気相手と同居させている、子どもをしょっちゅう浮気相手に会わせているなどの事情をつかめたら、別居している父親でも親権を獲得できる可能性が高くなるでしょう。

浮気した妻と親権を争うときには、「妻の生活の現状」を把握する必要があります。探偵事務所に依頼すると、相手の生活状況を把握しやすく浮気現場を押さえられるケースも多いので、ぜひ活用してみてください。

男性が親権を獲得したい場合の注意点

男性が浮気した妻と親権争いをするときには、以下のような点に注意しましょう。

後で子どもを返してもらえると考えてはいけない

よくあるのは「後で子どもを返してもらえる」という考えです。

この考え方が問題になるのは、妻と別居するとき、妻が子どもを連れて家を出る場面です。夫が「離婚するときには子どもを返してもらうからな」などと言って、いったん妻に子どもを委ねてしまうケースが少なくありません。

しかしいったん子どもを妻に委ねると、後に取り返すのは至難の業です。子どもが落ち着いて生活していたら、よほどのことがない限り裁判所は子どもの取り戻しを認めてくれません。

親権を獲得したいなら、必ず自分が子どもと一緒にいて養育すべきです。妻が出ていくなら1人で出ていってもらいましょう。もしくは男性が子どもを連れて実家に帰る方法も有効です。

連れ去りに注意

妻に対し、「出ていくなら1人で出ていくように」と告げても、妻が納得せずに子どもを連れ去ってしまうケースが少なくありません。また、いったん別居した後、妻が自宅にやってきて子どもを連れ去っていくケースもあります。

子どもを連れ去られたら「子の引き渡し請求」などの方法で取り戻せる可能性もありますが、確実ではありません。そのまま妻に親権を取られてしまうリスクも高くなってしまいます。

妻と別居した後も、連れ去られないように注意して生活しましょう。学校帰りに待ち伏せされたり、家にいるときに押し掛けられたりするケースもあるので要注意です。妻が押し掛けてきて子どもを渡すよう言われたら、頑として断りましょう。

相手が実は浮気相手と別れていないケースがある

浮気した妻と親権争いが発生すると、妻側はたいてい「浮気相手とは別れた」と主張します。そうしないと親権を認められにくくなるからです。

しかし現実には別れていないケースが多々あるので注意しましょう。その言葉を鵜呑みにすると、離婚後子どもが浮気相手と一緒に生活させられるおそれが高まります。

妻が本当は浮気相手と別れていない事実を証明するには、妻の生活の現状を詳細に把握して証拠化しなければなりません。そのためには、探偵事務所の「調査報告書」が最適です。

調査報告書には、妻と浮気相手が一緒に生活しているところ、妻が浮気相手と子どもを会わせているところなど、動画や写真とともに詳細に記載されています。裁判になったとしても証拠として通用するので、親権を争うならぜひ入手しておくようお勧めします。

親権を獲得できなくても面会交流をすべき

妻と親権争いをしても、必ず勝てるとは限りません。ときには不幸にも相手に親権を取られてしまうケースもあります。そんなとき、親権を獲得できなくても子どもとの面会交流は行いましょう。

面会交流とは、子どもと別居している親が子どもと会うことです。親には面会交流権が認められるので、相手が拒否しても離婚後の面会が可能です。

面会していれば、子どもが浮気相手と妻から虐待やネグレクトをされたとき、すぐに把握して助け出せるでしょう。場合によっては親権者変更の申立をして、こちらに親権を戻してもらえる可能性もあります。

相手に親権を取られたらそこで終わり、というわけではないので、あきらめずに子どものために行動し続けましょう。

父親が親権を獲得するために

妻に浮気された男性が親権を獲得するには、まずは妻の浮気の証拠をつかむことが重要です。証拠がなければ「浮気していない」ことが前提となり、妻が有利になってしまうからです。その状態では、慰謝料すら請求できません。

とはいえ自分で浮気の確実な証拠をつかむのは簡単ではありません。特に「現在、子どもと浮気相手を会わせているかどうか」という、詳細な状況は把握しにくいものです。たとえば浮気発覚の原因となったLINEやメールなどのメッセージでは不十分です。

「妻がまだ浮気相手と別れていない」動かぬ証拠をつかむため、探偵事務所を活用してみてください。今回の記事を参考にして、浮気した妻から子どもの親権を勝ち取りましょう。

執筆者プロフィール

福谷陽子
法律ライター 元弁護士
弁護士としての経験は約10年。その経験をもとに、ライターへ転身後は法律や不動産関係の記事を積極的に執筆している。
弁護士時代は中小企業の顧問業、離婚や不倫など男女関係案件の取扱いが多く、浮気調査や探偵事務所の実情にも詳しい。
記事の作成だけではなく、編集やサイト設計、ディレクションやウェブコンテンツを利用したマーケティングのアドバイスなど、活動の幅を広げている。

運営サイト(元弁護士・法律ライター福谷陽子のblog)
https://legalharuka.com/433

運営youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC-vYz7An9GHWXsXjWKbmRdw

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探偵社PIO編集部監修

本記事は探偵社PIOの編集部が企画・編集・監修を行いました。

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