怪文書は手紙だけにはかぎらない?対処方法についても解説
怪文書という言葉を耳にしたことはあるでしょうか?怪文書とは差出人不明の文書であり、宛先の人を脅したり、宛先の人の名誉を毀損するためのものです。差出人はあなたの会社関連の人物かもしれません。あるいは友人や元恋人かもしれません。普段、生活をする上ではまったく接しないものですが、一般の人でも怪文書に巻き込まれ、日常生活に支障をきたしてしまうことがあります。この記事では怪文書とは何かについて、そして怪文書を受け取ってしまった場合の対処方法についても解説します。
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怪文書とはなにか
怪文書と呼ぶには3つの条件があります。
1つ目は差出人が特定できない匿名の文書であること、2つ目は特定の組織や個人を誹謗中傷するような内容であること、3つ目はその内容が真実か虚偽かが確認できないということです。この3つの条件が揃うと間違いなく怪文書と呼ばれるものになります。
内容や差出人の目的は怪文書によってさまざまです。
告発文
たとえば不祥事を告発する形の怪文書があります。会社などの組織で何か不正が行われているが、正規のルートで報告できない。あるいは、もみ消されるリスクがあるときに、匿名で内部告発を行うケースです。また、組織内の派閥争いや権力争いが起こったとき、ライバルや相手派閥を陥れるために怪文書を送るケースなどもあるようです。
ネガティブキャンペーン
選挙などで、敵となる候補者に不利になるような印象付けをするためにも怪文書を流布することもあります(※1)。「あの人は脱税している」「セクハラされた」などとまったくの出任せで怪文書を作成したりするのです。そのような嘘の怪文書の情報でも、一度そのような印象を持たれると、払拭するのは簡単ではありません。
※1:田上法律事務所「選挙前の怪文書。」
精神に問題のある人の妄想
精神状態に問題のある人が妄想をもとにして作った怪文書として送りつけてくるケースもあります。そのような人は妄想と現実の区別がつかないことも考えられるため被、自身に危険が迫ると勘違いして特定の人や組織を攻撃したり、告発したりする文書を送りつけるのです。
近年はインターネット上の怪文書もある
スマートフォンの普及とともに、近年は怪文書もインターネット上の怪文書も増えています。たとえば、ブロガーがアクセス数を増やすため、「怪文書を入手した」などとして自作自演するのです。このようなケースの怪文書は誰にでも知られているような有名企業や有名人の不正やスキャンダルが多いようです。また、SNS上で怪文書を拡散する人も存在します。このケースもより多くの「いいね」やリポストが欲しいという、承認欲求が原因です。あるいは、アドセンス(インプレッション連動型の広告)で稼ごうと思っているかもしれません。また、特定の個人、または組織に一方的に敵意や恨みなどを持ち、SNS上で誹謗中傷し、それを拡散する場合もあります。このケースも拡散している人の精神状態に問題があることが考えられます。
もし怪文書が届いたら
ここからはもし、あなたに関する怪文書を受け取ったり、広まったりした場合の対応策について述べていきます。
怪文書を保管しておく
受け取った怪文書は大切な証拠になります。しっかり保管しておくようにしましょう。自分のことを悪く書かれている文書は見ているだけで非常に嫌な気持ちになるものです。できるだけ早く処分したい、と衝動的に捨てたくなるかもしれません。しかし、その怪文書の指紋や消印、筆跡などは大切な証拠でもあり情報源にもなります。
できるだけ届いた時点の状態を保つために手袋をして取り扱い、ビニール袋に入れて保管しましょう。写真に残したり、コピーを取っておいたりすることも大切です。また、届いた日時や、貼り紙であれば貼ってあった場所や見つけた日時も記録しておきましょう。
もし、怪文書がインターネット上に流されてしまった場合には、スクリーンショットなどで保存しましょう。インターネットの場合、もし相手がその文書を削除してしまったのであれば、アーカイブサービスを利用しましょう。キャッシュを保存することによりリンク切れになった投稿でも、後日閲覧が可能になります。
また、弁護士の特権を使ってプロバイダに投稿者の個人情報を照会することも可能です。しかし、プロバイダの情報を3か月程度で消去されることや、弁護士が照会しても個人情報を提供しないプロバイダがいるため、注意が必要です。訴訟を起こす場合は、相手不詳で訴訟をお越し、裁判所に調べてもらうことも可能です。
犯人が誰かということは口にしない
もし確信しているとしても不用意に「犯人は〇〇さんだ」などと口にしないようにします。
手紙を投函しているところを見た、あるいは手紙の筆跡が似ているといった事実では、決定的な証拠にはなりません。不用意に相手を追求すると、反対にあなたが名誉毀損などで訴えられてしまう可能性もあります。決定的な証拠を集め、警察や弁護士などにしっかりと協力を仰ぎながら、解決できるまで余計な行動は控えましょう。
相手に監視されていることを想定して行動する
怪文書が届いてしまった場合、怪文書を書いた相手はあなたのことを監視している可能性があります。とくに、怪文書が直接郵便受けに入っていたり、自宅近くに張り出されていたりする場合には、その可能性が高いでしょう。常に相手から見られているかもしれないと想定しながら行動する必要があります。
家族に相談する
怪文書の内容によってはあなた1人で解決したいと思うかもしれません。しかし、怪文書を書いた犯人が家族にも危害を加えてくる可能性もあります。怪文書に書かれている内容を家族に知られたくないかもしれませんが、大切な家族に何かあっては元も子もありません。家族に怪文書のことを打ち明け、解決策について相談するようにしましょう。
身の危険を感じたら警察に知らせること
怪文書の内容が「脅迫」や「ストーカー」の要素を含んでいるものであれば、警察に相談するようにしましょう。たとえば、「殺すぞ」「家族をさらうぞ」などのようなことが書かれている場合、脅迫罪に該当し、被害届を警察に出せば捜査をしてもらって犯人の逮捕につながる場合もあります。また「今日は〇〇に〇〇時にいただろう」など、監視しているような内容を何度も送ってくる場合にはストーカー規制法違反に該当する可能性があります。
放置しておくと、あなたやあなたの家族のみに危険が及ぶ可能性があります。早めに警察や弁護士に相談するようにしましょう。
怪文書が該当する犯罪
そもそも怪文書はどのような犯罪に該当するのでしょうか?
名誉毀損罪(刑法230条)
不特定多数の人が閲覧可能な状態で、社会的な名誉や評価を著しく低下させる情報を書いた場合に適用されることがあります。「閲覧可能な状態」の形態は問わないため、物理的な張り紙やインターネット掲示板への書き込みなど、ハード的にもソフト的にも適用されます。
また、名誉毀損罪は文字通り他人の「名誉」を「毀損」する犯罪です。書いた内容が虚偽か事実かは関係ありません。虚偽の内容で名誉を毀損するのはもちろんいけません。しかし、事実でも名誉を毀損してはいけないのです。「事実だから公表しても問題ない」は間違いです。
また、このような張り紙や書き込みをするときに、特定の役職や名前を名乗ったとしましょう。たとえば◯◯社代表や、◯◯ ◯◯(氏名)と虚偽の情報を使った場合は、その人に対しても名誉毀損罪が成立する場合があります。
侮辱罪(刑法231条)
名誉毀損罪のように具体的な内容(◯◯は裏金を受け取っている、◯◯は納税していないなど)でない場合、侮辱罪に問われる場合があります。侮辱罪とは「バカ」や「アホ」など、名誉を毀損するものではないものの、特定の人を侮辱するものです。当然、それが事実であっても侮辱罪にあたります。
脅迫罪(刑法222条)
怪文書の中に脅すような内容が含まれる場合、脅迫罪に該当することがあります。たとえば、「◯◯月◯◯日までに建物を爆発する」や「インボイス制度を廃止しないと、◯◯に細菌を撒く」といったものです。特徴としては、相手の要求事項が前半に書いてあり、それに応じないと後半の内容を実行すると脅してくるのです。
このような文書が送られてくると、犯人が実際に事件を起こす可能性が否定できません。そのため、実際に営業をやめたり対策しないといけないため、単純に不快な気持ちになる以外の実害があります。このような場合、業務妨害罪(233条)に該当する場合もあります。
住居侵入罪・建造物侵入罪(刑法130条)
怪文書を貼ったり郵便受けに入れたりするために、他人の土地に無断で侵入すると住居侵入罪、あるいは建造物侵入罪に該当する場合があります。また、この犯罪は実行しなくても、その意図を持って行動しようとしただけで成立する場合があります(未遂罪)。集合住宅やマンションの場合、階段や廊下、それに屋上部分などの共用部分も「住居」とみなされます。無断で侵入することはもちろん、退去を命じられても居座り続けると罪に問われることがあります。
怪文書に対する法的手続き
実際に怪文書を受け取った場合、どのように対処すればよいのでしょうか?
刑事事件
警察に相談
怪文書で困っている場合は、まず警察に相談しましょう。しかし、警察は具体的な被害がないとなかなか捜査してくれません。ここでは「警察に相談する」という事実が大切になります。のちに刑事告訴したり、民事訴訟を提起したりする場合の足がかりとなります。また、「警察に相談している」という事実が犯人に対する牽制になる場合もあるのです。
刑事告訴
相談しても警察が捜査してくれなければ(大半の場合がそうかもしれませんが)、被害届を提出して刑事告訴します。「告訴」とは犯罪の事実を警察に通告して犯人の処罰を求めることで、告訴すると警察に事件処理の義務が生じ捜査せざるを得なくなります。そのため、中には「被害届を受理しない」という水際作戦に出る警察署もあるようです。
このような場合は、レコーダーでその内容を録音して弁護士に相談しましょう。ちなみに自分と相手との会話を録音することを「秘密録音」といいます。秘密録音は犯罪にならないため、仮に無断で録音したとしても法的には問題ありません。ただし、秘密録音を繰り返すとマナーや人間性を問われますので、どうしても必要な場面に限るのがよいでしょう。
もちろん録音する前に許可を取れば、なおよいでしょう。しかし、警察が自分たちにとって都合の悪いことを許可するとは考えられません。本当に怪文書で困っているなら無断で録音し、警察の対応に疑問があるなら弁護士に相談しましょう。
民事事件
示談交渉
警察が怪文書の犯人を逮捕して検察が起訴し、有罪判決が下りたとしましょう。しかし、それだけではあなたが受けた精神的苦痛をお金で償ってもらうことはできません。そのためには示談交渉をする必要があります。
しかし、怪文書の被害者であるあなたが、一人で犯人と交渉するのは難しいでしょう。その際、頼りになるのが弁護士です。弁護士に依頼すると、あなたと犯人の間に入り交渉を進めてくれます。あなたは犯人と顔を合わせる必要がなく、示談交渉のために自分の時間を犠牲にすることもありません。
訴訟提起
犯人が示談に応じない場合もあるでしょう。その場合は、弁護士と相談のうえ、損害賠償を求めて訴訟を起こします。しかし、訴訟となると示談交渉以上に結論が出るまで(判決が下るまで)時間がかかる場合があります。時間がかかると時間そのものはもちろんのこと、お金も消費します。本当に訴訟を起こした方がよいのかは、弁護士とよく相談しましょう。
個人情報保護の対策
ポストに郵便物を溜めない
あなたの住所や普段の生活の様子を犯人に知られないようにするためには、郵便物を溜めないようにすることが大切です。郵便物を溜めていると、挿入口から手を入れて郵便物を抜き取れるほか、酷い場合には郵便物があふれてしまうこともあります。郵便物を盗まれるとあなたの住所だけでなく、普段の生活の様子も分かってしまいます。
たとえば、光熱費の明細やクレジットカードの明細があればお金を払っている対象やその金額が分かるでしょう。商品やサービスのDMがあれば、どのようなことに興味を持っているか分かるでしょう(DMが来るということは、その企業に個人情報を提供した経緯があるということ)。
個人情報が特定されるような内容をSNSに投稿しない
個人情報そのものをSNSに投稿しなくても、個人情報を特定されるような情報をSNSに投稿している人がたまにいます。たとえば、ナンバープレートを隠しているとはいえ乗っている車の写真を公開したり、通っているジムやカフェの写真を公開したりといった具合です。あなたの特徴を公開していることになるため、それをもとに個人情報を特定されることがあります。また、自宅から見た景色の写真をSNSに投稿するのもやめたほうがよいでしょう。特徴的な建物の位置や大きさ、見える角度からあなたの自宅が特定されてしまうこともあります。
まとめ
怪文書にはいろいろあり、警察が捜査してくれるケースに該当する場合もあります。しかし、多くの場合は実際に捜査してくれることは残念ながらあまりありません。その場合、決定的な証拠を集めて犯人を特定し、法的な手段に出るしか解決方法はありません。
個人の力だけで怪文書の問題を解決するのは非常に困難です。できるだけ早く探偵事務所や弁護士に相談し、問題の早期解決につなげましょう。
この記事の著者:探偵社PIO 調査員 Y.K
調査歴10年。
年間200件以上もの調査を行う。
関連タグ: 怪文書
探偵社PIO編集部監修
本記事は探偵社PIOの編集部が企画・編集・監修を行いました。